演劇のお医者さん

芝居はときとして健康に育ってくれません。そして時々病気に罹ります。一度罹ると自分たちではどう治していいか分からなくなることもあります。そういうとき往診して、適切な手当を施し、効く薬を調合してくれる医者が必要です。重症から軽症まで若林医院にお気軽にご一報下さい。

診療案内

<診療項目>

  • ■芝居の診療、治療
  • ■各種演劇関係講演、ワークショップ
  • ■各種大会の審査講評
  • ■その他

<ご予約・ご相談>

待ちわびて早3年、ついに開業!
高校演劇専門医 若林医院

  • ■芝居に関するお悩み、なかなか治らない演技など、出張治療致します。
  • ■診察治療代無料・実費・交通費のみ 要予約
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若林医院のカルテ

カルテは若林が長年の演劇活動から培ってきた処方箋項目(演劇キーワード)で構成されています。これに従って適切な治療を行えばほとんどの演劇の問題は解決致します。

<処方箋項目>

演出に効く薬

【演劇3原則】 ~①エネルギー ②関係 ③イメージが当医院の演劇3原則。真逆は①弱い②閉じる③頭(計算)。

【落差】 ~せりふのテンポも上下も強弱も差だ。プロットも装置も差だ。位置エネルギーの差、落差が人を引きつける。これを飲ませると途端に芝居が元気になる。

【場の中心】 ~空間の中心を掴む、感じる鉄則。芝居の進行にあわせて刻々動く。役者がそれを感じると自在に動けるようになる。中心を感じられないのはその人が自己中だからだ。さっそく他己中という注射をうたなければいけない。

【芝居の線】 ~時間の流れを掴み、それに乗っかり時間を楽しむ能力。もちろん他の演技者と一緒にだ。特にこの能力が演出や舞台監督にないと、悲劇は目に見えている。にしても時間的な流れを意識し、いつも全体を見通そうとする意志と能力はカッコイイ。退院は近い。

【わかる】 ~異なるイメージが繋がったとき、人間は「わかる」と感じる。そんなとき人間はイキイキし、そして「笑う」のだ。この薬を早く処方していれば、私だって東大に入れたのだ。あ、まあ、入ったって意味ないけど・・・・ハハハ。

【だんご理論】 ~イメージがつながり「わかった」とき我々は「やさしい」と思い、イメージが繋がらないとき「難しい」と思う。タイのお坊さんから私が学んだ医術。バカを利口に変える薬。バカな私が数学の教員になって今日まで生きてこれたのはひとえにこの薬のお陰。少し値段がはる。

【伝わる】 ~「わかる」と伝わる。伝われば観客の頭ではなく身体に落ちる。こうやって「体感」でわからせればいよいよ本物の演技。一時退院は近い。

【空気を通す】 ~演技も装置も閉じてはダメ。空気が通る道をつくる。観客の気がそこにス-ッと入り込んでくる。この薬を3日間飲み忘れると舌にカビが生えてくるので注意。

【バランス】 ~バランスは気持ちよさの王道。感覚に理屈はない。いいバランスにいっぱい触れるしかない。ちなみにこの薬は人によって効き目が違うのが難点。

【現場主義】 ~理屈は明日来い。今、ここの役者の身体を引き受けて出発するしかない。ただし焦らないでそこから少しずつ上げていけばいいのだ。そう、医療は焦りは禁物。

【通路をつくる】 ~もちろん気持ちが大事だが、形や型を要求することを恐れない方がいい。エネルギーを流す通路が出来ると、今度は気持ちが動く番だ。うちの入院患者も歩く通路をつくってやるとみんな歩き出す、うん。

【壁を壊す】 ~イメージはほっとくと固まる性質がある。だからほっとくと芝居には自然に厚い壁が出来る。それを壊すためには、さらに深く面白いイメージという薬を処方しなければならない。この薬は安価だが効き目は確かだ。

【テンポと間】 ~テンポを変えることで時として悲劇は喜劇に豹変する。間を変えることで芝居が一挙に活気ずく。時々間をわざととっていい気持ちになってる役者がいるが、これは病気だ。

【サッちゃん】 ~全員で一度、せりふや動きをあえて「サッと」か相手にカブせてやってみる。医療としては違反なのだが、ことは人命に関わることなので、当医院では公然と患者に要求する。頭を使ってる余計なことを考えてる暇がないので、途端に芝居が活気づく。昔から当医院に伝わる独特の人格矯正方。手術前、何度これで救われたことか。

【笑い】 ~笑いの原則はリラックスである。具体的には①「分かった」時 ②落差を感じたとき ③相手より優越を感じたとき(エスプリ) ④自分が謙虚に自己否定できた時(ユーモア)。これは薬ではない。うどん粉をラップで包んだものだが薬以上の効き目がある。

【役者の生理と演出の生理】 ~役者は自分の身体という局所からエネルギーを発信し、演出はそのエネルギーのバランスをとり、全体のエネルギー発信を保証する。その生理は確実に棚が違う。我々医者仲間でも「一度患者になって入院してみよう」という話が出るが、まだ誰も実行していない。

【細部と全体】 ~「細部に神宿る」だ。急がば回れで細部に手を入れるとで芝居の存在感が出る。しかし手術中患部だけを見ていて、身体全体を見通せる想像力が弱いと、却って患者を殺すことになってしまう。何を隠そう、私はかつて5人ほど殺した。

【関係】 ~関係が変化したとき初めてドラマが生まれる。関係こそがエネルギーだ。個人のエネルギーなどしれたこと。人間が絶望的に「分かってもらいたい動物」であることを考えると、至極当然のことだ。私も治療に疲れるとこの薬を飲む。

【不連続】 ~心の変化は電気信号だ。ドラマチックな動きこそ不連続だ。連続した動きと思うのは錯覚。だから手術にロボットを使いましょうって、それ違うだろ意味が・・・!

【ストップ】 ~心が動いているときは身体は動けない。逆に強引に動きをストップすると今度は心が動きはじめる。そうやって、私は何度患者の本心を聞き出したことか・・・。

【いい芝居】 ~①やりたいことが表現できたか、②それが観客に伝わったか。それで決まり。医療の本質でもある。反省。

【広さと奥行】 ~特に奥行きを意識。ただでさえ観客は舞台を横から見ることになるから、意識的に奥行きを取らないと、ベタな装置、ベタ演技になってしまう。なんかベタベタしてるなこの効能書き。

【出発は外】 ~自分の外側のものに驚き、気持ちの出発をつくることで、演技が途端に深まり、体感に向かう。そうやって何人もの患者が逃げていった。クソッ!

役者に効く薬

【役者3原則】 ~①ひびき②せりふたて ③リラックスが当医院の患者3原則。なかなか理解してくれない。看護婦にも本当に分かっていないものもいる。困ったことだ。分かれば即退院させてやるのに。

【リラックスと集中】 ~ストレッチで血液を流し「ああ気持ちがいい」と思うと【脳がだまされて】リラックスが生まれる。また吐く息を長く保つことによって【脳がだまされて】筋肉を緩ませる指令が出てリラックスが生まれる。リラックスは生きることすべての王道。ゆきずまったときの最後の解決法。私も手術の前には40分ストレッチをする。しないとときどきミスるので・・・・。

【いい加減、グダラ~、酔っぱらい】 ~芝居を一挙に強引にリラックスに変換するテクニック。公演前などは効力を発揮する。しかし処方箋を間違えると薬が効きすぎて、壊れることもままある。

【さらす】 ~思い切ってみすぼらしくも恥ずかしい自分を他人の目にさらすトレーニング。頭を離れて、勇気、決意の世界。やってしまえば快感。(例)虚空に身をさらす。

【イメージ】 ~感情が生まれるポンプ。行動の原動力。人間であることの原点。これも本当は薬ではない。誰でも手にはいるのものだが、本当のことはここでは言えない。学会で止められている。

【気合い】 ~そもそも気合いとは、大自然の気に自分の気を会わせること。気を場の流れに合わせると、他人と初めてふれあうことが出来る。自己中や自分をすぐ守る奴はできない。自分を失う気合いだ。どうしてもダメならば「勇気」という薬を処方される。

【反応】 ~イメージの力で言葉が身体に入ると、心のどこかが化学反応する。イメージが変わり感情が湧き、行動(言葉)になる。(例)だってうめぼしをイメージすると唾液が出てくるではないか。

【アレッ】 ~あらゆる自分の外側に「アレッ」を振りまく。すると目が張ってくる。そのまま演技に向かう。いつも新鮮に驚いていく当医院独特のリハビリ法。

【シャドー】 ~必ず言葉をブツケル相手をイメージで存在させて一人芝居。これならどこでも練習は出来る。これが出来れば来週は退院だ。

【とぼけ】 ~知ってるのに「知らないよ」の、気持ちのベース。芝居を重く、固くしないためのテクニック。これも江戸時代から当医院に伝わるテク。

【アゴスト】 ~両肩と顎の3点を固定したままセリフ。顎が動かないので、声帯に力が入らない。途端に声が響き始める。ひびきのテクニック。この薬は即効性。少し高い。

【100と0】 ~下腹部を固く(緊張度100)し横隔膜から上をリラックス(緊張度0)させて、体の中に緊張と緩和との落差をつくる。声が響き、エネルギーが出てくる。この状態をキープできると演技が途端に変わる。「落差」という薬を少し混ぜてある。

【ロブとフタ】 ~ロブとは骨盤を前に回転させて下腹部に壁(支え)をつくること。フタとはそれを軽く維持すること。当医院独特のひびきのテクニック。ひびけ青春、アレッ。

【変わり身】 ~ある行為をやると見せかけて、さっと「実はやらないよ~」とはずすギャグ。リラックスによって「気づき」が保証されてると、見事に差が生まれる。【ダブルアクション】も同じ。私は手術もこの二つの技法をよく使う。手術室が盛り上がる。

【ひびき】 ~響く声は、特定な相手、不特定な観客、ともに届く。そういう響く声はある幅の周期を持っているという。そういう響きを手に入れると、人生でも幸せが来る。

【シャクリ】 ~気持ちの出発を無視して、芝居のエネルギーだけでつくると、一生懸命観客に届かせようとするので1音で落とし準備し、2音で直線的に上げる、いわゆるシャクリ現象が生じる。【①高低の感度】を敏感にするのが正しいやり方だが、意外に【②リラックス】や【③感情出し】によって乗り越えられることも少なくない。ちなみにシャクリは、シャックリとは違う。

【放物線】 ~地球上のものには重力がかかっている。だからオシッコだって放物線を描いて飛んでゆく。自然現象はすべて放物線だ。言葉も同じ。放物線を描きながら相手の身体に入っていく。私には実際に見える(ハハハ)。これが分かると患者の言葉のリアリティと豊かさが手にはいる。この薬は自信はあるのだがまだ特許を取ってない。

【セリフを相手に入れる】 ~相手に気を入れて言ってみる。エネルギーが伝わると、自分は気持ちがいい、相手はドキドキする。二人の間に不思議なエネルギーが立ってくる。これを観客に見せるのが演劇。役者の正当な快感。時々私は患者に、私をピストルで撃つように又はボールを投げるように言いなさいと進言する。途端に病室は体育館と化す。

【目線】 ~目の方向、強さで相手の中に入る入り方が決まる。目線にセリフを乗っける。
時々患者からいやらしい目線が来る。私はいまだに頬を赤らめる。

【ひねり、ネジリ】 ~身体の方向と、顔の方向を一緒にしない演技。一挙に場の存在感が出てくる。ネジリ過ぎると筋を違えるので、せいぜい90°ぐらいに・・・・。

【せりふたて】 ~2音目、2フレーズを、前方やや上目に立ててやると、言葉が観客に伝わる。伝わったときの気持ちよさがわかると、もう役者をやめられない。これは最近で最も効く薬で、人気も高い。

【せりふの憶え方】 ~相手のセリフの気持ちの固まりを示す言葉も一緒に覚える。その法が結局自分のセリフも憶えやすいし、一人でシャドー練習も出来る。

【脳をだます】 ~自分の無意識と上手くつき合うテクニック。詳細は中国問題があるので今教えられない。

本番間際に効く薬

【合わせ練】 ~高校演劇は「育て」が99%。残りの1%を本番前の演出に費やす。少しオーバーだがそんな感じ。すべてのスタッフと役者の成果を会わせる。本番を想定して観客に触れる包装紙を贅沢にみんなでつくり直す。芝居が一挙に変わる演出の見せ場。主に演出と舞台監督の腕の見せ所。この日のためにみんな頑張ってきたのだ。この面白さに比べたら、本番の手術なんてとるに足らない。失敗したって大したことない。患者が一人死ぬだけだ。

【本番前のあがき】 ~本番前はテンションが上がるので、間際に伸びることがかなり多い。伸ばせるだけ伸ばしてあげよう。そう、治療はテンションだから。

【ひだじん理論】 ~左甚五郎という江戸時代の彫刻師の話。将軍が甚五郎ともう一人の有名な彫刻師Pに上り龍を彫らせた。甚五郎の龍は荒解刷りでいかにも手を抜いた感じ。一方Pの龍は細部にまで素晴らしくリアルな龍。勝負が決まったも同然。しかし柱を立ててみると逆だ。甚五郎の龍は今にも空に飛んでいきそうな迫力だった。--本番は練習と違う。特に狭い練習場で慣れてしまった耳は、大きい会場では使い物にならない。本番前では、少々荒削りでも細かいことを捨てて、セリフを立て、ダイナミックな演じ方がポイントだ。当医院では戒めのため、甚五郎の「眠りネコ」が手術室に飾ってある。

【マジック】 ~本番に向けての通しの回数と場所と開始時間を決め、それぞれの通しに逆算して番号をつける。10本可能ならば、本番前がM0で、M10から通しを始める。こうすると緊張感も出るし、スタッフも役者も準備ができ、集中しやすい。手術もいっぱい失敗してナンボだ!

【臨機応変】 ~かなり想像力を働かせて準備しても、公演の現場では全然役に立たないことがしょっちゅうだ。そこで考えて、さっと動けるか。これが臨機応変の力だ。実はこれが出来るために、無駄になるかもしれない周到な準備をするのだ。してきたことは必ず生きる。臨機応変が出来ない奴は、自己中という病気にかかっていることが多い。

創作に効く薬

【ドラマとは】 ~ストーリーではない。ドラマとは、立体的な構造をもち、我々をあるカタストロフィーに導くものである。言葉の説明ではない、体感、実感によって何かを伝えるものだ。手術はドラマだ。芸術だ。失敗がなんだ。

部運営に効く薬

【引き受け】 ~怖くても勇気を出して目の前のものをしっかり見る。いやなことでも必要ならばそこから逃げないで、勇気や決意で引き受けることが出来たとき、もう怖さやおっくうさなど消えている。何となくさわやかな気持ち。イケてる自分を感じる。私は患者の身体をメスで開けたときいつも逃げたくなる。だからよく分かる。

【逃げない】 ~逃げないと心を決めて、怖い対象を見つめると、なんと怖さが消えている。逃げるとどこまでも怖さが追ってくる。患者の患部が怖い。

【育てと待ち】 ~ 高校演劇は「育て」が99%だ。そのための粘り強い「待ち」が必要。しかし[育てる]と称して[待って]ばかりでは、結局指導側の逃げになることも多い。

【責任を明確に】 ~一人一人の責任を明確にきめると、やることが見えてくる。自然にやる気が出てきて、身体が動く。昔からある漢方薬。定番。

【関係】 ~いい関係はエネルギーの源泉。他人との関係の作り方が、その人の幸せを決める唯一の物差し。お金なんて、ま、欲しいけど・・・・。

【いい気持ち】 ~一方、欲望を満足したときの喜びは必ず次の欲望を求める。一つの刺激、麻薬。行き着く先は死なのだ。しかし例えばお年寄りに席を譲ったときに味わう「いい気持ち」は、いくらしても癖になったり、人や自分を傷つけることはない。「いい気持ち」という一つの価値判断に一度自分を委ねてみる。

【自分を守らない心意気】 ~気合いが落ちるとワガママになる。自分を守り始める。本来自分という気は常に外に向かって波長を合わせようとしている。ま、私もそう感じる。

【思い切り】 ~まず自分を大事にする思いを切って、行為にかけること。思いを切れるのがほんとうの賢さ。患者のためらいなく患者の身体にメスを入れるのが賢い外科医。

【エントロピー】 ~水は流れる。宇宙は広がる。これが(熱力学的)エントロピー増大の法則。人間の心も相手の心と解け合って、体積を広げたとき気持ちいいと感じる。広げられないとき苦痛になる。この薬はなかなか手に入らない。

【見た目きれい】 ~見た目が本質。芝居も同じ。一般に話す「内容」よりか「話し方(見た目)」が本質。この真実は意外に知られていない。

【平面きれい】 ~すべての平面にものを置かない。とりあえずどんどん棚に押し込む。見た目きれいの応用。片付けの基本。

【Mi】 ~ミーティングは大切。みんなが聞いている中での発言は不思議な生理が働く。エネルギーが出る。儀式って大切。無意識はそんなことで意外と簡単に納得する。

【角度のついた関係】 ~好きなことを介してつき合うのがいい関係。正面を向き合ってつき合うのは、恋人同士か、喧嘩同士かで、どだいいいことはない。

【開く(解放)】 ~演劇の目的は一応「解放」とされてる。返事、挨拶は気持ちが向かう方向や人を受け入れてるかどうか(解放されてるか)の判定材料と、当医院は見る。初対面で私に挨拶できない患者は即刻入院。

その他演劇に効く薬

以下の処方箋は、比較的常識的で他の病院でも扱っている簡単明瞭な項目なので、説明書きは省略している。しかしもちろんだからといってその重要度が低い訳ではない。むしろ昔から重要な治療項目である。

  • 【挨拶の意味】
  • 【目標、見通し】
  • 【繋がる。流す】
  • 【ノセルちから】
  • 【ふれあいとツキアイ】
  • 【本音とタテマエ】
  • 【切り換え】
  • 【無意識とイメージ】
  • 【楽しさと面白さ】
  • 【変わる】
  • 【流れと全体】
  • 【本音と建て前】
  • 【チームワークの楽しさ】
  • 【講評の受け取り方】
  • 【ゆるい関係】
  • 【量から質】
  • 【いつかより今ここ】

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